中国人を父、イギリス人を母に持つルクセンブルグの芸術家スー・メイ・ツェ(30)が、ベネチア国際現代美術展・各国代表部門の最優秀賞であるナショナル・パビリヨン金獅子賞を受賞した。 今回で第50回目となる同展のテーマは、「夢と闘い―観客の独裁」である。
ツェを選んだのは、ルクセンブルグの大公ジャン近代美術館(建築家I.M.ペイの設計により建設中)館長で、同国の文化・高等教育・研究大臣より同展委員に指名されたマリークロード・ボー氏。今回ツェが出展したのは、さまざまな創作物とビデオが1つのコースをなすユニークな芸術作品だ。
パリ国立美術高等学院出身のツェは、造形芸術家であるとともに、チェロの名手でもある。
「エア・コンデイションド air conditioned」と題する今回の作品は、air のフランス語読みである「エール」をテーマに、「支配下のエール E:r conditionné」、「形容詞語尾のエール ere」、「平面 aire」、「着陸帯 aired’ atterissage」、「発射基地 air de langement」、「羅針盤の11度15分 air de vent」、さらには空気などを意味する基本の「エールair」、「メロディーとして聞こえる最も楽しい「エール」、つまり音楽」(同展カタログの執筆者、Deepak Ananth)といったバリエーションを展開している。
なお同展の最優秀作品部門ではスイスのピーター・フィシュリとダビッド・ワイス、35才以下の若手芸術家部門ではイギリスのオリバー・ペインとミック・レルフが、それぞれ金獅子賞を受賞した。
ベネチア・ビエンナーレの第50回国際ビジュアルアート展は、政府関係者、芸術家、美術専門家、マスコミ関係者等を招いた3日間の開幕日程を終え、昨日朝より一般公開されている。 (“Presse nationaie” du 16.06.2003) |